音楽のこと

音楽のこと

電子音楽を始めて、だいたい二年が経ったかな、一週間に一曲作るペースで続けてきた。

続けてはきたものの、自分の曲がどういうものなのか、どれぐらいのものなのか、よく分からないのは、リアルで聞いてくれることが極端に少ないからである。

知り合いにちょっと話してみても、興味津々な様子はなく、テクノという性質上、聞き手を選ぶところもあって、ポップスなんかだと、もうちょっと違うかも知れないのだけど、僕のやっている音楽は、ポップスとは言い難い。

近頃、写真は、リアルで、反応が出て来ている。
というのは、写真展に参加して、直接、意見や感想を言ってくれるからだ。
写真展に出した写真で、今のところ、100%聞かれることは、「この写真はどうやって撮ったんですか?」という質問で、撮った僕にしてみれば、さほど変哲もない写真でも、見る側には不思議な写真だったようである。

元プロカメラマンと、現役のプロカメラマンの二人から、同じ質問があって、プロでもちょっと不思議な写り方だったようだ。

近頃は、僕の写真を褒めてくれる人が出て来て、さすがプロですね、とか、やっぱり違いますね、などと、おだててくれる。
写真展で、他の人の写真、桜や花の写真を見ていると、僕とは違うな、とは、自分でも感じる。
別に、他の人の写真を下手だとは思わないし、ことさら、自分が上手いとも思わない。
何しろ、僕は、iPhoneのカメラで撮影して、インスタグラムのフィルターで加工した写真に、Photoshopのスタンプツールで若干、スポット修正しているだけなのである。
それを出して平気なぐらい、僕は無頓着だし、ことさら、奇を衒っているわけでもない。
今、写真は、主に、音楽のために撮っているところがあって、自分の自作したアルバムのジャケットに使ったり、サウンドクラウドにアップロードした曲のイメージ画像に用いている。
そういう意味でも、インスタグラムでのスクエアのトリミングは、都合がいい。

幸いにも、最近は、写真を褒めてくれる人が増えてきて、嬉しいのだが、実際には、僕にとっては、あまり興味はなくて、褒めてくれても、無視されても、貶されても、まぁいいか、という感じもある。
それよりかは、音楽に興味があって、僕の作っている曲を褒めてくれた方が、断然に嬉しい。
しかし、褒めてくれる人も、貶してくれる人も、ほんとうに少ない。

僕の音楽を、詩のようだと言っていた友人がいて、今、確かに、状況は、僕が詩を書いていた頃に近いかも知れない、とふと思う。
詩を詩集にまとめたり、現代詩フォーラムにアップしていた感じに。
反応はろくになく、現代詩フォーラムでのポイントもあまり入らず、腐っていた頃に。

僕が詩を書かなくなったのは、単純に、才能がないことにようやく気付いたからで、音楽も、そのうちに、才能がないと辞めるかも知れない。
そもそも、自分に音楽の才能があるとは、今でも思ってはいない。
ただ、自分の作る曲は好きだし、アルバムにまとめるのも好きなだけで、それだけで続けてきたようなものだけど、リスナーがいて、反応があって、という風になったらいいなぁ、とも、音楽仲間が増えるといいなぁ、とも、真面目に思う。
写真仲間というものは、多分、自然に増える時が来るだろうな、と思っていて、別に、あまり増えなくても構わないのだが、僕の友人、僕の話に耳を傾け、僕に興味がある人は、だいたい、写真を始めている。
そもそも、写真をまったく撮らない人というのは、珍しい。
ほとんどの携帯にカメラが付いている時代である、写真は、ネットとの相性もいい。
ブログにアップしたり出来るし、押せばだいたい綺麗に写せるのだから、撮らないよりかは、撮った方が楽しいというものだろう。

例えば、詩を好んで読んでいる人は、世間的には珍しい。
詩集は売れないのが相場だし、詩はどちらかと言えば、難解な作品が多い。
電子音楽は、別に難解ではないけど、ボーカルがないものは、やはり、さほど好んで聞かれていないようである。
音楽とは、歌ありきのようで、それこそ、カラオケだって、歌うために行くのである。

別に僕に音楽の才能がなくても構わないし、もともと無知から始めて、今でも無知なのだから、プロを目指しているわけでもない、完全な趣味なのだから、褒められないからと言って、拗ねたりなんかはしないと思うけど、もっと広がりが出て来たら素敵だなぁ、とは思っている。
難解な音楽を作っているつもりはないし、かと言って、キャッチーな、聴きやすい曲でもなさそうだけど、具体的に、直接的に、現実的に、反応があったり、少しでも変化があったらなぁ、なんて思う日々である。

サウンドクラウドでの反応が、今の十倍に増えたら、きっと、解消されると思うのだけど、頑張って曲をアップし続けても、今が限界のようで、どうやったら反応がよくなるのか、まったく見えてこないのも、辛いと言えば辛いところ。
そういうのが、いわゆる、才能がないってことなんだけどね。